一頁堂書店へ

前項・『風の電話』に向かう前。

「チエ、岩手出身なのに、一頁堂書店のこと知らないの?」

これまた数年前にはなりますが、わたしが大学時代にアルバイトをしていたのが日本テレビの『ズームイン!朝!!』という番組でした。そのチームで久々に会った時に、こちらの本屋さんのお話を、当時はズームインのお調子モノディレクター氏(とあの当時のわたしには見えていたのだから正直に書いても仕方ない)、現ちょっとエライ人?なのかな?という、Uさんに聞いたのでした。

大槌のショッピングセンター・マスト内にある本屋さん。お店の看板は上條恒彦さんの字だそうです。

「あの、Uさんのお知り合いでしょうか?」

一瞬にして顔がほころぶ店主、「え!Uさんのお知り合いですか!」

(その後、Uさんのいい人バナシを聞く。ただのお調子者ではなかった。猛爆)

震災の時のこと、震災後のこと。そして本屋を始められたこと。色々なお話を伺う。この日の営業妨害すみません。

「まだ、お時間ありますか?ちょっと、この建物の屋上へ行きましょう!」

なんと奇しくもこの日は、不通になっている釜石〜宮古という、沿岸部をつなぐ鉄道路線が再開に向けて試運転をする日だった!目の当たりにして感動する、もう言葉が出ない。

予定では、来年3月には開通になるのは沿岸部に行くと看板などで目にする。ここが繋がれば、岩手の三陸は北の久慈から南の大船渡まで、鉄道で全て繋がることになる(今はバスが代行している)。震災前に戻る。朝ドラの『あまちゃん』で、鉄道が復旧するシーンがあったけどこんな気持ちなのかな。胸がいっぱいになった。

一頁堂の店主、木村さんです。後ろ姿を失礼します。この時の木村さんの思いはわたしなんかが感じたもの以上でしょう。

木村さんが脇に挟んでおられる、写真やらを見ながら。当時かつての街を屋上から見渡す形で教えてもらいました。

左手の奥に白い建物群が見えますが、小高いところの建物が今年の『ありフェス』開催場所の公民館。右手奥の方が海です。ちなみに『風の電話』は真ん中の山を超えた先の方です(なんとなくのイメージ)。

鉄道路線から海までの距離もだいぶあるのに、ましてやこの『マスト』という建物だって。津波が襲って、マスト1Fが押し流された物で溢れる写真を見せてもらった。ただただ驚くしかなかった。その威力たるや。

大槌も火災が激しかったと聞きました。波に乗って、火が移動しているのだと。水があると火は消えるイメージですが(理科オンチ)、漏れたガスに引火していたということか。さぞかし恐ろしい光景だったことでしょう。

わたしの記憶では、陸前高田とここ、大槌が。岩手県庁の最初の公式発表の資料で、「壊滅」としか書かれていなかった市町村だったと思います。

 

わたしは、『さわや書店』という盛岡が本店の岩手県内のチェーン店の皆さんにとてもお世話になっている(一人が大学の後輩なのもある)ので、震災後にさわや書店が行ってきたこと、目の当たりにしたことなどもお話を聞いていました(さわや書店・田口さんの『まちの本屋』という書籍でも触れています)。本屋さんが再開して飛び込んでくるお客さんたち、「なんでもいいから」と買い求めていった姿。本、活字がある生活の大切さ。街に本屋さんがある、ということの大切さ(これも、上記の田口さんの本を読めばわかります。木村さんもお読みになっておられて、話が弾みました)。実際この日も何人ものお客さんに「あ!あの本入荷しましたよ!」的にお声をかけている木村さんのお姿がありました。ちゃんとお客さんの好みや頼まれたものを理解していらっしゃる。

木村さんは、いわゆるマスコミなどの取材などをほぼお受けされていない。それはUさんに対してですら貫いている。その真意はこちらには書きませんが、そんなことよりも。街の中に根ざしている本屋さんになっていることは間違いなくて、それこそがとても大切なことですよね。

ただ一つだけ。木村さんは一頁堂書店を「18年は続けたい」とおっしゃった。18年?

それは。

震災の年に大槌で生まれた子供たちが、高校を卒業する、その年まで。その年までは、どんなことがあっても、がんばる、と。

一頁堂書店を訪れて、風の電話へ行き。ありフェス、前日の準備をしている現場へ行き、ほんのちょっとお手伝い(という名の冷やかし)をし。この日は本当に夜まで雨なんか降らなかったんだけどなぁ、翌日の雨たるや。

「チーチーもほら!行くよ!」と連れられたのは一般のご家庭で。家庭料理をこれでもかというくらいいただいて(マンボウのお刺身!最高!)。ありフェス実行委員の明日への決起集会的な(笑)ものに混ざらせてもらって、それはそれは濃くて濃すぎる大槌1泊2日だったのは、これでお判りいただけますでしょうか。

この場にもいらしたのですが動画しか残っていないので…

毎年、ありフェスにやって来る大分&熊本のバーテンダーの皆様。「世界一の乾杯をしようじゃないか〜!」という乾杯は何度やって頂いても「チエさん!ウケすぎですよ〜!」と逆に笑われてしまうほど最高!!!なのです!!!

動画を乗せれば分かりやすいですが、それは辞めておきます。興味があれば体験されてください。ありフェスが続く限り会場で体験できますし、大分か熊本のバーへでも。シュッとしたバーテンスタイルでお迎えしてくれますが、ただの飲みの時は普通のダメな(爆)オジさまたちです。最高です!

そんなわけで最高だから、忌野清志郎さんもこちらのお店を懇意にされてくれていたんですよね。いつかわたしも、お店にも必ず参ります!

ちなみにありフェスでのカクテル、ドリンクグラスはこのように地元の幼稚園児が東北へ思いを寄せて思い思いに描いてくれたカップを使うのです。今年はその思いの輪が広がって、なんと3000個ものカップ持参でやって来てくれました🎶

大槌、ありがとう!!!また来年!!!木村さん、ありがとうございました、また来年(^^)!!!

一頁堂書店で買った絵本&風の電話・佐々木さんから直接購入した佐々木さんが書いた本(一頁堂書店でも勿論扱いあり)。一頁堂書店もそうですが、沿岸部の本屋さんは震災関連を扱った書籍のコーナーが展開されていることが多く、「あ、こんな本もあるんだ」と手にすることが今でもその土地に行くと多々あります。

佐々木さんが書かれた本を読み、大槌と宮沢賢治に関連があること、『大槌宮沢賢治研究会』が設立されたことを知りました。なるほど、佐々木さんの『森の図書館』に賢治関連の書籍がたくさん並んでいたわけです。

絵本には号泣しました。絵本は、読み聞かせなどの資料として買うことがあるのですが、この本の読み聞かせは、今のわたしに出来る気がしません。

そして佐々木さんの著書には、佐々木さん自筆のサインを入れていただきました。こんな言葉とともに。

‘感性を育み 想像力を育てる’

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